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観戦記

新潟県ラグビーフットボール2012新潟県社会人リーグ・トーナメント戦 優勝決定戦

ラガービアーズ vs オール医学部

 

優勝 ラガービアーズ

 さあ、決勝戦だ!5月20日に開幕した今年の新潟ラグビーは、11月3日に予定どおり決勝戦を迎えることができた。決勝戦の場は、新潟最大の観客収容人数を誇る東北電力ビッグスワンスタジアム。決勝進出したのは、ラガービアーズ(以下「ビアーズ」という)とオール医学部(以下「医学部」という)。

両チームともに準決勝は5点差以内の僅差をものにしてきた。特にビアーズは準決勝の長岡クラブ戦において、試合終了間際のロスタイムで劇的な逆転トライで勝利し勢いついている。医学部は、学生決戦ともいえる準決勝のオール上越戦で5点差を守りきり勝ち上がってきた。

両チームは、レンタル制度を使わずに自力で勝ち上がり、新潟県内の社会人ラグビーを牽引する役割を担ってきたチームである。

【前 半】

13:00菊川レフリーのキックオフの笛がスタジアムに響いた。ビアーズはFWを全面に出し 密集サイドを中心とした攻撃。逆に医学部はBKがグランドを大きく使う展開ラグビー、カウンターを中心とした攻撃。

前半10分間は両チームともに決め手を欠き、膠着状態が続いた。医学部はBKがカウンター等で仕掛けるが、ビアーズのディフェンスが固く攻めあぐねる。

これを如実に現われた場面が前半11分。医学部L後藤収がビアーズの一瞬のミスつき、こぼれたボールを自陣10mライン付近で拾い左サイドを駆け上がる。これに対し、ビアーズは逆サイドからバッキングアップで快足を飛ばしてきたJスティーブン・ブロードが追いつきナイスタックルでトライを許さず。

ピンチをしのいだビアーズは、前半14分敵陣ゴール前にボールを持ち込んだが、医学部のディフェンスの前にノッコン。ミスでチャンスをものにできず。

試合が動いたのは、前半19分。医学部K高野駿が、ビアーズBKのパスをインターセプト。約40を自ら走りきりゴールポスト下に先制トライ。N三浦要平のGKも成功し7−0とした。

これに対しビアーズも反撃。前半22分に敵陣中央付近30mの地点でペナルティーを得る。N寺尾伸剛がPGを確実に決め3−7に詰め寄った。

両チームの緊張もほぐれてきたのか試合がさらに動いた。医学部は27分にまたもやBKがカウンターを仕掛ける。N三浦要平が自陣10mから右サイドを駆け抜け、さらには切れ味鋭いステップを武器にビアーズを翻弄。2人をかわしてゴール右端にトライ。自ら蹴ったGKは不成功も12−3と引き離した。

ビアーズは32分に反撃。敵陣10m付近でBKが右に展開し、ボールを持ったN寺尾伸剛が華麗なステップワークで医学部のディフェンスを切り裂き、約40mを駆け抜けゴール下中央にトライ。自ら蹴ったGKも決まり10−12と再度詰め寄る。

その後は、両チームともタなった。ックル、ターンオーバーなどにより健闘し得点に至らず、前半終了。まさに決勝戦に相応しい大接戦となった。

【後 半】

 後半も両チームの戦術は変わらなかった。ビアーズはFW戦。医学部はBK展開。両チームとも観客をはじめ見ている者を魅了し、一瞬たりとも最後まで期待を裏切らなかった。

 後半開始早々の1分。ビアーズが動いた。やはり休み知らずのFWが敵陣G前でラックサイドをこまめに連取。最後はF番場賢一が中央にトライ。N寺尾伸剛G成功し17−12と逆転に成功。はじめてリードする展開に。

 後半立ち上がりに失点した医学部は、グランドいっぱいにBKが長いパスで大きく展開するが、ノッコン。ラック際でのオフサイド、相手のハイパントをノッコンするなどミスが続いた。そんな中ではあったが、後半11分に大チャンスが訪れた。敵陣G前10m付近のスクラムからBKが右に展開しスピードで突破したK高野駿がこの試合2本目のトライを中央に決める。N三浦要平のGKも決まり19−17と逆転に成功。

 逆転を許したビアーズは23分に決定的なシーンを迎えた。敵陣22m左中間のラックから左サイドに出たボールを、A清水宏通がBKをも優るステップで突破。インゴールに入ったかにも見えたが、次の瞬間、ボールは何と医学部の選手の手に。場内が唖然とする中、医学部の選手は冷静にタッチキック。

 ビアーズは決定的なチャンスを逃したものの再度、逆転のチャンスが2分後の後半25分に巡ってきた。敵陣G前30m付近、右中間でペナルティーを得る。逆転のPGを狙ったが、N寺尾伸剛が蹴ったボールはやや右へそれPG不成功。逆転のチャンスを連続で逃した。
 流れは医学部に傾くのかと思えば、今日のビアーズは違った。ビアーズは33分にまたしても敵陣G前10m付近でペナルティの大チャンスを得た。今度はPGを狙わず、FW戦に切り替え勝負の賭けにでた。この賭けが見事にはまり、最後は数的有利をつくりだしBKに展開。後半34分にまたもやN寺尾伸剛がこの試合2本目のトライを中央に決め、24−19と逆転に成功。

 残り時間5分。逃げ切りを意識したビアーズに対し医学部の怒濤の攻撃が始まる。キックオフ後、ビアーズG前に立ちはだかる展開。医学部が敵陣G前5mでFKを得たとき、大多数の観客はまた逆転と思ったはずだ。しかし予想外の出来事が起きた。痛恨のノーキック。ビアーズボールのスクラムになり、ビアーズはタッチキックで逃れた。しかし、ビアーズのピンチは去っていない。

 医学部は、その後のマイボールラインアウトをしっかりキャッチし、左オープンへ大きく展開。ビアーズBKも必死のタックル。医学部はFW集散し、さらに展開。細かく繋ぎF志賀優がG前へ突進しG残り1mまで迫った。しかし、ビアーズC桑山海がトライ寸前でタックルしトライを阻んだ。殊勲のタックルが決まり、試合の動きが止まった。

次の瞬間、菊川レフリーのノーサイドの笛が鳴り響いた。

 決勝戦に相応しい好ゲームでした。この日をめざし、この日のためにフィットネスをあげて、最高のパフォーマンスで観客を魅了した両チームに感謝します。

医学部が20歳台前半の平均年齢に対し、ビアーズは先発メンバーが34.7歳(20歳台以下3名)と決して若いというチームではないですが、40分ハーフをもろともせず、フィットネスを最後まで保持し続けたことが勝因であったと思います。また、随所に魅せたタックルも素晴らしかったです。

医学部は、ダイナミックな展開とカウンターが光りました。FWはビアーズの執拗なサイド攻撃によく耐えていたと思います。ペナルティ数をもう少し抑えていたら、結果は異なっていたかもです。

両チームの健闘を讃えるとともに、本日朝早くから、会場設営に協力して頂いた新潟商業高校ラグビー部のみなさま、県リーグのチームのみなさまに感謝申しあげます。大変ありがとうございました。

マンオブザマッチは、ビアーズN寺尾伸剛選手、医学部N三浦要平選手を選出した。 

                        観戦記録:クラブ委員長 齋藤 剛



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